分光センサの応用その1
カラーコンパスMFAの評価
秋月電子が販売するマイクロ分光器:カラーコンパスMFA
LED光源の波長評価実験
赤色LEDと赤色レーザー光源波長比較
レーザー光源はセンタ波長が650nmで半値幅が10nmでした。
一方、LED光源はセンター波長620nmで半値幅は30nmでした。
レーザー光源半値幅は赤色LEDの約1/3程度でした。
LED光源は単色光源としてレーザーには劣るものの十分活用できそうに思いました。
赤色LEDと赤色レーザー光源の励起能力比較
レーザー光源(波長650nm)で赤色LED(波長620nm)より波長ばらつきが少ないが、
安全制限から、入手できるレーザーユニットは1mAでした。LEDに比べ2桁程度出力
が小さいです。レーザー光は拡散レンズを使って帯状に被写体表面に照射しました。
焦点距離30mmの凸レンズを使い点光源を平行光に近いものに変換しました。
LEDでは集光効果に、レーザーでは光源を広げる効果を期待しました。
残念ながら赤色LEDと比較して被写体から得られた蛍光強度は赤色LEDに
劣っていたため、実装を断念しました。
分光センサの応用その2
蛍光プロファイル測定装置(SP2304)の開発
LEDの励起光源とマイクロ分光器を組み合わせて蛍光プロファイル測定装置(SP2304)
を開発しました。カラーコンパスと同等の機能を持ち、暗電流補正やピーク分離などの
機能を追加しました。
マイコン(Arduino)と分光センサ(C1880MA)の接続
分光センサ(C1880MA)
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-12673/
浜松フォトニクス製分光センサ
(C12880MA:秋月電子で入手可能)
基本回路例:Video信号をマイコンのADCに入力
マイコン(Arduino)のプログラム
参考:https://karttur.github.io/arduino/project/wiring-C12880MA-spectrometer/
Arduinoとの接続プログラムの問題点
浜松フォトニクス推奨のHPを参照してArduinoと接続。タイミングの解析が困難で、
通信速度115200bpsでは、センサからの全データを受信できないことが判りました。
通信速度を230400bpsにアップし受信したデータの中身を解析することで波長プロ
ファイルを得ることができました。
Windows-PCとのインターフェースプログラム
波長軸の構成:カラーコンパスで測定したLED中心波長を比較
センサの出力は381データ/測定であり、有効データ領域(波長測定データ)
を取り出す必要があります。今回はLED波長基準ではなく、カラーコンパス
を校正原器として採用しました。
分光測定プログラム
分光測定プログラムの信号処理手順 C12880MAからの主な信号処理は以下①②③④
処理① 測定を10回繰り返す(約1.2秒)
処理② 10回分の測定値を合計し校正結果から有効領域(142-381)のデータ領域を
抽出する。
処理③ データ領域142-381を波長領域340-850nm波長分解能1nmに変換するため
スプライン補完を行う。
処理④ 波形画像とデータを保存する。
分光測定プログラムのソースコード
分光測定プログラムの出力
以下のfilenameは起動時に任意に入力した拡張子無しのファイル名
分光センサの応用その3
蛍光プロファイルのピーク分離
ピーク分離処理を行うことで、蛍光ピーク比の測定精度を上げる検討をしました。
ピーク分離処理手順
④2つのピークを想定した分離処理
ピーク分離プログラム
本ピーク分離プログラムを測定システムに組み込む検討を行いましたが
プロファイルデータの総数に対して数%の割合で分離不能な場合が発生
しました。ピーク分離処理は行わないことにしました。
分光センサの応用その4
励起光源を付加したプロト機の開発
励起光源の改善(集光レンズ方式から分散光源方式へ)
(集光レンズ光源と分光器配置の課題)
PowerLEDをレンズで集光する方式で第3回実験で使用レンズ焦点と分光器
の調整をレンズ傾斜で行うため同一ケースに光源と分光器を収納すると光源
の入射角度が浅くなり十分な強度が得られませんでした。
集光レンズ方式
(分散光源方式のねらい)
砲弾型のLEDを分光器のまわりに中心向きに配置し近距離での光量を確保する
ことを狙いとしました。
分散光源方式
集光レンズ方式と分散光源方式の比較
集光レンズ方式と分散光源方式と比較して、分散同軸分光方式は励起光源強度や蛍光の
信号強度が高く、ノイズレベルが大幅に改善(測定は10回平均を使用)されました。
740nmピークのみならず688nm付近のピークも明確に観察されました。
450nmの青色LEDを使用した分散同軸光源を搭載した蛍光プロファイル測定装置(SP2304)のハードウェアは確定しました。
次にWindows-PC用に操作性を向上させたGUIプログラムを開発しました。
次頁以降にその操作方法を示します。
蛍光測定プログラム SPpysimpleGUI.exeの操作方法
分光センサの応用その5
分光プロファイルのダイナミック測定
蛍光プロファイルの測定は、励起光源光を対象に商社し発生する蛍光プロファイルを測定
するものでした。マイクロ分光器は、カメラと同様に高速で動作します。
プラズマ加工時の発光モニタのようなダイナミックな測定も可能です。
処理① 測定100回(約12秒:変更可能) 処理② 有効領域抽出pickleでダンプ保存
処理③ 時間軸を横軸にスペクトル変化をHeatMap表現
分光器ダイナミック測定プログラム Dynamicmeasurement.py
今回は、ダイナミック測定の実験だけを行いました。将来有益な応用があれば
開発を再開したいと思います。
補足:pysimpleGUIを使ってGUIプログラムを作成しました。
分光プロファイル測定(SP2304GUI.exe)
①ファイル名とを指定して
Startボタンを押すと測定開始。
デフォルトのファイル名は、
[sp2304.csv]でStop&Clearボタン
を押すと中身がクリアされる。
ファイル名(デフォルト以外)を
設定するとそのファイル名で
csvとpngファイルが保存されます。
プロファイル測定は10回繰り返し
平均プロファイルを表示(右図)。
測定及び表示の所要時間は約3秒。
②測定が終了すると平均した
グラフが表示されます。
③蛍光指紋用オプション(ピーク比の抽出)
740nm/688nmのピーク比が%で表示されます。
分光プロファイルダイナミック測定(DMSP2304GUI.exe)
デフォルトファイル名は、[sp.csv]でStop&Clear
ボタンを押すと中身がクリアされます。Loop1回の
測定は約0.12秒で行われ100回を指定した場合、
12秒間測定が繰り返される。
①ファイル名とloop回数を指定して
Startボタンを押すと測定開始。
②測定が終了すると2つのグラフが表示されます。
loop回数分のプロファイル(左)と時間軸に対
してのプロファイル変化をカラーマップ化した
分光スペクトラム(右)が表示されます。
③Exitボタンでプログラムを終了。
ファイル名デフォルト以外で指定した場合は、
ファイル名でcsvが保存されます。