スペクトラムアナライザーによる2次元EMS測定

2023年技術ブログ集

スペクトルアナライザ(tinySA)をスキャナに接続してEMSを測定しました。SAはベクトルネットワークアナライザ(NanoVNA)の親戚のような測定器です。VNAは入力と出力間の反射波S11とか4項目の伝達特性を測定しスミスチャートとかを表示するものです。VNAが振幅と位相を測定するのに対してSAは基本的にはアンテナ信号の周波数特性(強度のみ)を測定するものです。
周波数特性を求める方式としてはFFTを行う方式とtinySAのように抵抗ブリッジを使った方式があります。tinySAはFFT方式より高速でより高周波領域までの測定ができます。ノーマルモードで300MHz(私の持っているRIGOLのオシロが100MHzです)で、高調波を使って900MHzまで測定できます。少し高価なPLZ-SAという製品は2万円くらいの製品ですが4.4GHzまで測定できます。
これらの製品は安価なICの組み合わせで作られていて、ハードウェアもソフトウェアもオープンソースです。tinyVNAの場合、シリアルコマンドが公開されていて、シリアルからバイナリで’data 0’を送信すると測定データが返ってきます。 ありがたいです。

前置きが長くなりましたが、2次元のEMS測定システムの概要を示します。これまでと同じで2系統のシリアル通信を行います。 また、tinySAは、別Windowsソフト「tinySA_App.exe」をDLして起動し測定条件を設定します。(条件を更新するまでは電源を切っても設定値は保持されています)



tinySAをXYステージに接続した全景写真を示します。XYステージは3台目です。EMS測定に使用するプローブには電界プローブを使用します。
(磁界プローブはコイルの角度で強度が変わりますので、ベクトル表示するときには便利ですが都度90°回転しなくてはなりません。)



tinySAの測定パラメータ設定には、「tinySA_App.exe」使います。 起動すると下記画面になり
項目としては、Start/Stop周波数、データ数、アンテナゲインです。▶を押すと測定しグラフ表示
されますが、オシロスコープのようにLOOP処理ではありません。測定が終わると次の▶を押すまで
待機しています。 なので、この状態でシリアルコマンドを受け付けますし、プログラムを終了して
も構いません。



今回EMS測定実験には、マイコンESP32を使用しました。(プログラムはADC値を115200bpsでUARTに吐き出す) 設定は、Start=0.1MHz/Stop=2.1MHz、アンテナゲイン=0dBでESP32の電源ON/OFF時に変化する領域を調べてみました。
(1.5MHz付近~2MHzで信号変化が大きい)



tinySAとのpythonによるハンドラソフトは試行錯誤の結果以下のようになりました。
データ数は最小設定値(101個)を使用





途中で測定が停止する問題が発生






ステージ制御+EMS測定プログラム






2次元EMS測定データ






2次元EMSマップ表示プログラム






ESP32(通電時)モジュールのEMSマップ(1.55/1.75/1.95MHz)


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