同時聴診型聴診装置の開発

2024年技術ブログ集

その1 電子聴診器(AS01)の開発経緯

心拍数や呼吸数の非接触測定装置として、マイクロ波ドップラセンサを利用したもの
を製作してきました。測定中(数十秒間)じっとしてないと正確なデータが得られない
ことから、安静時(睡眠時)の測定に使用するという限定的なものでした。接触式方式
としては光学式のセンサで耳にクリップするものも検討しましたが、犬が嫌がって払
ってしまうため断念した経緯があります。今回は獣医さんが聴診を行うことを想定し
てマイクロフォンをセンサとして測定器を試作しました。

マイコン(ESP8266)側にいデジタルフィルターを搭載しました。今回は生信号(100Hzサンプリング)も取り出せるようにしました。信号処理の流れを示します。

測定結果を表示解析するGUIプログラム例を示します。結構な時間をかけて作ったの
ですが獣医先生には不評でした。

以下に獣医先生の生コメントとRS01の課題を纏めました。このFeedBackをもとに
折れない心で、同時聴音型電子聴診器(AS02)の試作を始めました。

その2 同時聴音型電子聴診器(AS02)の開発

以下にAS01と同時聴音型のAS02の外観を示します。

AS02の信号処理の流れを示します。AS01ではマイコンで音響処理を行いデータを
PCに送り測定~解析までシームレス処理をしていましたが、AS02はマイクとUSB
インターフェースを使ってPCに直接、音響データを散り込みます。録音用のソフト
でまず、wav波形を48KHzでサンプリングします。異常音の可視化のためスペクト
ラム表示機能を付加しました。

AS02の録音、信号処理、スペクトラム表示の各プログラムを示します。完成度が低い
ため、現時点ではCUIです。まず、録音プログラムを示します。

信号処理のプログラムを示します。

最後に、スペクトラム表示(フルレンジ:24KHz帯域)のプログラムを示します。
縦軸はプログラムコードで設定すれば2KHzや5KHzレンジに変換できます。

その3 同時聴音型電子聴診器(AS02)の測定例

アドバイスを頂いていた獣医さんが、忙しいとのことで関係者の知り合いの獣医さん
の協力を得て、5匹の犬のデータを提供してもらいました。感謝です。

データを示します。

ここまでの3犬は特に異常は見られませんでしたが、残り2犬で特徴的なスペクトラムが得られました。

トイプードル15歳のスペクトラムについて、獣医先生の意見を伺ってない状況ですが
心拍や呼吸に混ざった濁音成分のようなものが観察されました。
素人がWEBで調べると以下のような症状に起因しているのかもしれないと思いました。

次に異常なスペクトルを示したのは、トイプードル0.7歳です。2KHz付近に連続音
が観察されました。

診察室で外部音が鳴ったということはなかったようです。犬の内部から発信して
いるようです。

同じような症状を持った犬について、
以前、世界の何だコレ!ミステリーでレポートされたことがあります。

その4 同時聴音型電子聴診器(AS02)の開発

これまでの心拍・呼吸系の解析画面はグラフを並べて表示するタイプ(下図)で、大きなモニター画面を必要としていました。また、電子聴診器ではスペクトラムの表示が有効なことが判りました。従来の信号処理波形データとスペクトラム画像をタブ形式で一括表示するシステムを検討しました。最終的には、ラズパイを内蔵できる5インチや7インチモニターでのコンパクトなシステムが実現できると考えています。

聴音信号の録音と解析のソフトウェアはCUIベースで、録音と解析を分離して作りました。録音から解析まで連続でできるようにpysimpleGUIのtab機能を使ったGUIにチャレンジしてみました。

解析モードと各タブ表示に説明します。

現時点でソフトウェアは完成しましたが、ラズパイとモニターの相性で5インチモニターは断念(本当に残念)、7インチモニターで調整を行ています。

最後に煩雑ですが、プログラムコードを示します。

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