果物のインピーダンス測定

2024年技術ブログ集

その1 トランジスタ技術2023年12月号

トランジスタ技術とInterfaceは毎月購読する雑誌です。昨年の12月号に、果物の
インピーダンスを測定し食べごろを判定する技術として、NanoVNAを使ったインピーダンス測定の記事がありました。NanoVNAは、非営利グループが汎用部品を駆使して開発したベクトル・ネットワーク・アナライザ(NanoVNA) です。細胞のサイズや電気的特性より固有の共振周波数があり複素インピーダンスで細胞状態の情報が得られるようです。NanoVNAの基本測定周波数レンジは300MHzですが、果物などの測定領域は1~100MHzでOKとのことです。Smithチャートや入力リターンロスや入力インピーダンスグラフが表示できるので果物の種類や熟度でそれらグラフが変化するようです。

NanoVNAは有志の皆さんの努力で、測定周波数の拡張やWindows向けのソフトが提供されています。GUIのソフトはpyhtonで作られていています。
GUIソフトは、「NanoVNASaver.exe」という実行形式で提供されています。Pythonのソース子どもgithubからDLすることができます。
次に、「NanoVNASaver.exe」の操作方法を説明します。

NanoVNAのGUI操作方法を示します。トランジスタ技術の著者は、果物のインピーダンス測定の周波数レンジは1~100MHzが適切とコメントしてくれていますので、同じ
レンジを設定しました。設定パラメータは都度設定しないといけないようです。

NanoVNA弟分のTinySA(スペクトルアナライザー)では、パラメータの設定地位は最終
設定値が保存されるのですが……

その2 NanoVNAによる果物のインピーダンス測定

トランジスタ技術では、リンゴ・バナナ・キーウイでした。追試としてリンゴ、
新たにポンカンとアボカドを測定してみました。まずオープンプローブで、
Smithチャートと複素インピーダンスを測定しました。オープンプローブでは、
1~100MHz領域でインピーダンスの変化はありませんでした。
ポンカンを測定するとインピーダンスは実部虚部とも減少しています。

追加で、リングとアボカドを測定しました。

測定した4つのデータを比較しました。SmithチャートとS11を比較するとアボカド
はポンカンやリンゴに比べ大きな違いが現れました。
リンゴやポンカンは、S11が周波数に伴ってゆっくり減少するのに対して、アボカ
ドは20MHz付近っから急激に減少しました。

理由は良く判りませんが、果実を校正する成分の値がではないかと思われます。
ポンカンやリンゴは賛成の水分を多く含んでいますが、アボカドはオイル成分が
多いことに違いがあるように思いました。

その3 プローブの深さとインピーダンスの関係

測定プローブは記事に掲載されていた同軸SMAプローブ(基板固定用)を使用しました。記事では非破壊で測定ができるように記載されておりましたが、非破壊では測定できないようです。0.2mmφx4mmの穴を5個もあきます。
まずインピーダンスの変化が大きいアボカドを使って、接触させるだけ(深さ0mm)と2mm差し込んだ状態とフルに差し込んだ状態(4mm)のSmithチャートを比較しました。

リンゴについても測定しました。4mmの電極を差し込み果皮を貫通しないとインピーダンス測定はできないことが判りました。

その4 NanoVNAデータ表示プログラム作成と経時変化測定

プログラムは、TinySAの場合と同じで、9600bpsでシリアルから「data」を送信すると
101個のデータをシリアルに吐き出します。

最後に、アボカドのインピーダンスの経時変化を測定してみました。生きの悪いアボカドを近所のスーパーで購入し1日置き4日間の変化を反射蛍光指標と表面欠陥の変化と併せて測定してみました。まずインピーダンス変化です。4日目は外皮と果肉部
に隙間が空いたようです。

並行して測定した欠陥画像とMsaizu 欠陥検出個数を示します。欠陥的には、1日目から過熟状態で黒点が多く表れています。
(Mサイズ欠陥数が50個を超えると過熟と判断しています。)

3日目・4日目の欠陥画像をしまします。黒点部がより大きく黒くなっています。
黒点部は異常部です。表皮と果実がはがれている場合もあります。プローブを刺す部位が異なるとインピーダンスデータがばらつく原因になると思われます。

最後に、反射蛍光によるクロロフィルとカロテノイド濃度の変化を示します。
カロテノイド指標(A2:縦軸)が熟度を反映しているようで、0.1を超えると過熟
領域になります。0.5を超えると廃棄するレベルです。欠陥画像で黒点が発生し始めた3日目以降は廃棄レベルです。インピーダンスは小さくなり場合によっては
単調減少でなく誘電体孫出の共振周波数が現れてくるようです。

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