その1 投球時の手の動きを検出する
BL01やBL02システムで投球時の骨格抽出と角度特徴値を抽出するところまでは既報です。今回は、カメラでは捕らえられない手の動きを測定し分析するシステムを作りました。教育用マイコンmicrobitを使用して0.1秒分解能を持つデータロガーを作ります。最初は、SDカードに記録する予定でしたが、SPIインターフェイスとSDカードモジュールは使えなく別マイコンを搭載したシリアルSDカードモジュールがあるようです。

早速、試作しましたが実装する際に結構なじゅうりょうになることから今回は採用しませんでした。

替わりにmicrobitの内部バッファメモリ(約20KByte)を使用することにしました。後ほど、0.1秒間隔でコンマ区切りのデータを書き込むと約15分蓄積できることが判りました。投球時の測定時間を10秒とすると3ゲーム分を記録するには十分な容量であることが判り、今回は内部バファメモリを使用することにしました。

makecodeで、機能拡張からdataloggerブロックを追加します。加速度センサのx値を記録するサンプルコードです。

ダウンロードフォルダーに「」内部バファメモリからのログデータの取り出しも簡単で、usbケーブルでPCと接続すると「MY_DATA.html」ファイルが現れるので、ダブルクリックするとWEB画面が開きます。Downloadボタンを押すと、PCのダウンロードフォルダに「microbit.csv」としてログデータが出力されます。また、このWEB画面上でデータのグラフ表示ができます。便利です。

その2 microbitの実装と測定プログラムの開発
Microbitはver.2を使用しました。マイクロフォンが搭載されていて、加速度に加え音圧もログデータとして取り込むためです。ボールリリースのタイミング検出には、音圧ピーク位置情報が重要になります。電源としてはCR2031(3.3Vですが、3.7Vくらい出ています)これ一個でロガーとしては15分以上の動作はできます。電池ケースにはSW付のものを選び測定終了すれば都度電源が切れるようにしました。

ボーリングでは、投球時の手のブレが無い事が重要です。操作は、Aボタンで測定スタート、Bボタンで測定ストップをします。

Aボタンを押すと▶が表示され、測定を開始します。Bボタンを押すと■が表示され記録をストップします。この後、Aボタンを押して5秒して測定をする変更や音圧を取り込むコードに変更します。

複数回動作した後でログデータを確認した結果を示します。データを分割するプログラムは必要なことが判りました。

複数のデータが含まれている場合、データとデータ間の区切りは、間隔が2秒以上空いていることを検出して分割しました。タイムスタンプは最初の測定が基準になります。

13個のデータを収集したデータを分割した結果を示します。

その3 ログデータ解析プログラム(BL03)の開発
BL03システムのデータ処理の流れを示しました。データはx,y,z値とx,y,z値からpitch, roll, yaw角度に変換します。pitchとrollは、手元のブレ角度を表し、yaw角は秘儀腕の角度を表します。

BL03システム(BL03GUI)の操作方法を示します。分割したcsvファイル名を入力します。解析開始ボタンを押します。処理が終了したら、グラフ表示ボタンを押します。

ボーリングデータではありませんが、解析結果を示します。解析ボタンを押すとベクトル動画と各種グラフを表示します。この後ベクトル動画は見たからと言って解釈できるかちうとそうでもないので、改良版ではベクトル動画生成は削除しました。

ボーリングの投球ポーズデータを解析しましたが、リリースの瞬間が判らないと解釈が難しことが判りました。

その4 BL03システムの修正
手の卯木器を示すベクトル動画は削除して、音圧グラフを加速度や角度変化のリリースポイントの参考にできるようにしました。また、Aボタンを押して3秒の待機時間を設けました。

動作確認をしました。Aボタンを押し、スタンバイ3秒後に測定開始。投球終了してBボタンを押すと測定終了します。

Windows-PC側のプログラムも変更しました。GUIの表示内容も修正をかけました。

GUIの操作画面を示します。音圧グラフから、おおよそのリリースポイントを探ります。また、3軸加速度そのもののグラフも表示します。角度値変化と音圧値変化のグラフに多くの情報が含まれています。

最後に、実査のデータを解析したじれを示します。同じチームの3名の解析結果です。サンプル1では、2.7秒当たりがリリース点です。リリース点前後で手振れを表します。
手振れが大木ですね。投球後は右手を挙げたままボールがピン届くまで姿勢を維持しています。フォーム維持は、コーチの指導によるものです。

サンプル2は、投球動作が早く短時間で投球しています。手振れは小さいです。

サンプル3は、達人の域にある師匠の投球データです。なんかメリハリがしっかりしています。動と静というかグラフから感じられますね。
